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アートプロについて
カーメイクアートプロは2021年、オランダにあるフェラーリ内装のスペシャリストHVL社と提携しました。HVL社は世界で極めて少ないフェラーリ本社公認のファクトリーで、自社及びフェラーリが持つ車両データをベースに当時の素材を使って、オリジナリティの高い、最高のレストアを行っています。カーメイクアートプロは、そのデータ、ノウハウを共有して、日本では唯一の極めて質の高いクラシックフェラーリの内装レストアサービスをご提供しています。
アムステルダムの南東に位置するワーデノアイエンにファクトリーを構えているHVL社は、ヘンク・ヴァン・リス(Henk Van Lith)が1989年に設立したフェラーリ、マセラティなどのヒストリックカーの内装を手掛けているファクトリーです。ヘンク・ヴァン・リスはフェラーリの内装を手掛けるカリスマで、名だたるクラシックカーコンクールの審査員も務めるほどヒストリックカーの知見を豊富に持っているのです。彼は航空機の内装メンテナンスに従事していた時に、ヒストリックフェラーリオーナーの顧客から、フェラーリの内装レストアにおいて、レザーやウッドなど望ましい素材を手に入れることがほぼ不可能であることを知りました。好奇心旺盛な彼は、それからイタリアへ向かい、精力的に情報収集を始めます。彼の情熱に共感したフィオラバンティ、ピニンファリーナのデザイナーの協力で、車両データ、レザーなどのオリジナル素材を入手することができました。そこからHVLの歴史が始まります。
HVL社 HP:https://www.hvlclassleathers.com/
HVLは、ヘンク・ヴァン・リスのフェラーリレストアに対する細部への拘り、見えないところまで手を入れて、オリジナルを再現する姿勢にエンツォ・フェラーリが感心して、エンツォ直々に、そして正式に認められているファクトリーで、30年以上にわたり、フェラーリとの協力関係を持っています。
HVLは、1947年に「フェラーリ」の名がつくレーシングカーが誕生して以来、製造されたフェラーリに使用されたレザーをはじめ、内装に使われた素材を車輛ごとに所有しています。ヒストリックフェラーリの多くにコノリーレザーが使われていますが、車両に応じて、1950年代までのモデルにはArbotan、1960年代はBOW leather、以降はCogolo leather、Roser leather、Franzi leatherなど、車両のデータに対して忠実にレザーを調達して、使用します。そして、HVLが保有するのは、その貴重な情報と素材だけではありません。オリジナルの内装を正確に再現するには、経験を積んだクラフトマンの巧みな技術が必要です。作業方法も当時の製法を倣い、HVLのノウハウを合わせて作り上げられるのです。 もちろん、HVLが所有するのはレザーだけではありません。内装に関連するすべての素材をストック、手配しています。フロアカーペット、天井のレザー、ビニールレザー、金属パーツ。意外とおざなりにされているネジ類に至るまで、汎用品は一切使いません。
HVLは、オリジナルの再現への絶対的なコミットメントを確保するために、自動車用の皮革製造で有名なコノリー社から、機密情報であるフェラーリに使用されたすべてのコノリー レザーの情報とサンプル、ストックのすべてを取得しました。そして、HVLが蓄積したノウハウを組み合わせて、3,000種類以上のレザーをHVL Class Leather®としてシステム構築しました。 HVLがレストアしたフェラーリは世界中の著名なコンクールで数々の賞を受賞して、その地位を築いています。
HVL社でレストアされたモデルを中心に、ヒストリックフェラーリの素晴らしさをご紹介します。
HVLで内装がレストアされたフェラーリ250GT クーペ・ピニンファリーナ。後ろは250GT ルッソ。 「路上で最も速いクルマはフェラーリの名を冠していなければならない」 これは、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリの意志である。 1950年代にF1をはじめ世界のレースを席捲し、最高級スポーツカーメーカーとしての地位を築いたフェラーリには、速く美しい最高級スポーツカーを求めて、今も世界有数のセレブリティが顧客リストに名を連ねている。 1951年にフェラーリ初となる、3.0L V12エンジン、ティーポ(タイプ)128が登場、シリンダー1本あたりの容積が250ccなので、このエンジンを搭載するクルマは250と名付けられ、レーシングカー、市販スポーツカー共に1965年まで数々のバリエーションが作られた。フェラーリが量産メーカーへ飛躍するきっかけとなったモデルである。
250GTヨーロッパを皮切りに、市販モデルを量産するという計画はPFクーペ以前から試みられてきたが、ここに紹介する250GTクーペ・ピニンファリーナ(PF)の量産をきっかけにフェラーリが大きく飛躍することになった。ただしフェラーリにとっての量産とは“他のモデルと比べて”という意味である。 実は、エンツォ・フェラーリはロードカーにそれほど興味を持っていなかった。彼にとってロードカーは、レーシングチームの活動資金を確保する手段でしかなかったのだった。しかし、1958年6月のミラノ・モーターショーに姿を見せたPFがすべてを変えてしまったのである。 この車は、必要最低限の装備しか持たないレーシングカーではなく、外観も完全なロードカーである。事実上、1957〜58年の間に生産されたピニンファリーナによるデザインスタディの進化版と言えるが、重要なのは均一性、同じものが量産され、一台一台が微妙に異なる”一品もの”ではないという点だ。その生産台数は350台ほどと言われている。
全長4400mm×全幅1725mm、ホイールベース2600mmの堂々としたサイズの2シータークーペは、洗練されたエレガントなボディスタイルが特徴である。このボディの下の基本コンポーネントは、ロングホイールベースのティーポ508シャシーも含めて250GTトゥール・ド・フランスから流用されたもので、2953ccから240bhpを生み出すエンジンはジョアッキーノ・コロンボ設計の1.5リッターV12レースユニットをルーツとしている。 エンツォ・フェラーリは自分の製品をライバルのそれと明確に差別化することを望んだが、そのせいか、その時点までに101種ものボディスタイルが存在しており、それがコメンダトーレ(エンツォの愛称)にとって悩みの種だった。そこで新しいプロジェクトはオートクチュールというより既製品に近いものを目指していた。もちろん繰り返すが、それも相対的なものである。エンツォ自身も250GTを「最新ファッション」と語っていたのである
ミラノ・モーターショーでお披露目された250GTクーペ・ピニンファリーナは、その鮮やかで活き活きとしたスタイルのおかげで最初に予定された200台を売り切ってしまう。セルジオ・ピニンファリーナの手によって、ドライバーが快適に、かつ速く走るためにすべてが注意深く考えられており、室内もきわめて広く、トランクも驚くほど大きいと評判だった。
その後、デリバリーが始まると自動車メディアは、エンジンのフレキシビリティと静粛性を両立した、驚異的な性能と卓越した洗練度を備えた素晴らしいグランドツーリングカーとPFを褒め称えた。 顧客リストに名を連ねたセレブリティは、経済界の大物から歌手や映画スターまでこの車に殺到した。とりわけ1959年のパリ・サロンで発表されたカブリオレモデルが翌年に売り出されると、その人気はますます高まった。
この車はピニンファリーナのアルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダーも生産されていたグルリアスコ工場で組み立てられた。そのインテリアはコノリーレザーとビニールレザーが組み合わされたシンプルなデザインで、快適な座り心地のシートはサポート性も良い。派手なインテリアの同時代の高級車に比べて対照的で、派手さは一切ない。そこがフェラーリの魅力だ。
エンジン アルミニウム製V型12気筒2953cc(73.0×58.8mm)、SOHC、ウェバー40ツインチョーク・キャブレター3基
最高出力 240bhp/7000rpm 最大トルク:26.7kgm/5000rpm
トランスミッション 前進4段MT(オーバードライブ付き)ステアリング:ウォーム・ローラー
サスペンション(前) ウィッシュボーン、コイル、レバーダンパー
サスペンション(後) リジッド式、ラジアスアーム、半楕円リーフ、レバーダンパー
ブレーキ 4輪ディスク
車重 1370kg 性能:最高速(公称値)241km/h、060mph加速=7.1秒